みなさん、二宮尊徳をご存じでしょか?
中高年の方でしたら、小学校の校庭にブロンズ像などがあったと思います。
ちょっと調べてみましたら、二宮尊徳は江戸時代の農政改革者で、1787年小田原市に生まれました。
貧しかった少年期、薪を拾って売りさばいて家計の足しにしながら勉学に励んだ姿が、銅像になっていたのです。
尊徳さんは、「報徳仕法」と言われる処方で、農村、藩を立て直しました。
その基本理念は「分度」、「推譲」、「勤労」、「至誠」の4語であらわされています。
「分度」とは、過去の納税額をさかのぼって調べて平均を算出し、向こう数年間の税率としました。
過小でなく過大でもない相応の利益を分度としたのです。
一般に当時の税率は「五公五民」など収穫量に対して一定の割合を貸すものだったが、尊徳の「分度」はたとえ豊作でも分度を超えて徴収しない。
ということは、収穫量が増えれば実質の税率が下がり、農民のもモチベーションが上がります。
ただし、その、過大な利益を農民が貪ることを許さず、分度を超えた余剰の利益は、新田開発のために水路をひいたり、井戸を掘ったり藩のために使用しました。
これを「推譲」といいます。
分相応の利益(分度)で生活を守りながら、社会全体の生産性を向上させるために共同で投資する(「推譲」)
尊徳は分度を満たし、それを超えるための「勤労」と、推譲を惜しまない、社会への「至誠」の必要性を説いたのです。
こうした「報徳仕法」の考え方が、農村改革を超えて広く企業経営や地方自治の精神的な支柱「報徳思想」として明治期に全国的な組織「報徳社」が作られていきました。
経済と道徳は矛盾しない。
なぜならば経済活動盛んにすることで、社会に貢献「推譲」でき、企業は道徳的にも完成に近づくからだという考え方は、日本の近代化が推進される明治時代に普及していくのです。
この「報徳社」活動の実践者が、豊田自動織機創業者である、豊田佐吉です。
「上下一致、至誠業務に服し産業報国の実を挙ぐべし」
(全社を挙げて至誠をもって勤労し、利益を上げることで社会に報いる。)
道徳を元に経営を行い、世界的な会社になったのは、トヨタだけではなく、パナソニック、伊藤忠商事、日本生命など数多くあります。
現在の日本人には、「道徳」と言うとなんだかきな臭いものだという考えをお持ちの方も多くいらっしゃると思います。
GHQ、マッカーサーが戦後日本が二度々と立ち上がらないようにするにはどうしたらいいか、考えたそうです。
ひとつは、日本の官僚の権限を弱体化させること。
もう一つは、日本の「道徳教育」を弱体化させること。だったそうです。
日本の強みは、滅私奉公する優秀な官僚がたくさんいたことです。
その思想の流れは「報徳仕法」、二宮尊徳さんにあったのではないでしょうか?
市場原理主義がゆらいでいる中、日本が次に指針とするのは「道徳」ではないでしょうか?
この不況を乗り越えられる企業も「道徳」を実践する企業であると信じて疑いません。
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