私が一介のサラリーマンから独立して、早や11年が過ぎました。
食品関係の営業と、管理をしていた人間が、「便利屋」という未知の世界へ飛び込んだわけですが、最初から順風満開というわけではありませんでした。
最初の1年間は生活費が出ない状態だったし、明日の仕事にも困っていました。
起業することは誰でも出来ます。
どんな形であれ、お金があれば会社は設立出来ます。
私自身は、高校3年生の時に「薬剤師」になりたいと思っていました。
どうしてかというと、ここ富山では「薬くそうばい」という言葉があります。
薬の原価は非常に少なく、定価販売をすれば相当な利益が見込めます。
その当時、ドラッグストアーの発展期で、郊外型の大型店が目立ってきた頃です。
ドラッグストアーをするには、「薬剤師」の免許が必要です。(厳密に言うといらないんですが、経営者が持っていないというのもいかがなものかと思いますので)
その話を担任の先生にしたところ、「おまえのような考えの生徒は初めてだ。そんな考えで薬学部に行っても勤まらないだろう。商学部に行きなさい。」
と言われ、理系のクラスから文系のクラスへ変更したのです。
高校の頃から「いつかは独立を」とは思っていましたが、それが実現したのが、20年後です。
タイミングを見極めるのに時間がかかりました。
しかし、夢だけは捨てずにサラリーマンをしていても心の中で「自分が独立したらどうなるだろうか」ということを常に考えていました。
起業するというには難しい。ましてや永続する会社にすることはもっと難しい。
私が、それでもやってこれているのは、私の親友に言われた一言です。
「おまえみたいな便利屋の経験のないものが独立しても失敗するだけだ。そもそも便利屋という業種で大きくなっている会社はない。」と言われた一言です。
その彼はマスコミ関係のしかも広告営業をしていたのでその辺の事情にも通じています。
「そこまで言い切るのであればやってやろうじゃないか。絶対に成功させてやる」
と強く思ったものです。
それ以来、数年間、連絡もせず、頑張ってきました。
人間には人生を変えるちょっとした一言が必要なのですね。
「起業家」と言われるひとはたくさんいらっしゃいます。
しかし、自分の身の丈に合う会社にしている人は少ないと思います。
自分の技量をわきまえた経営をする、そして、つぶれない会社にすることがこれからの経営だと思います。
(これに関しましてはまたの機会に書きます。)
その彼が、最近心の病にかかり、会社も辞めてしまいました。
久しぶりに連絡して、会いました。
今や立場が逆転しているような状況。
彼がいたからこそ、ここまでやってきたのです。
でも、本人には面と向かって言えません。
話をそらしながら、冗談を言いながら彼が考えていることを探り、彼本来をもう一度見つめ直すことを言ってあげることぐらいしかできませんでした。
彼からもらった「励まし」を今度は自分がする番だ。それを強く感じた一日でした。
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